・はじめに
示談書で用いる条項としては、大別して実体法上の効力を有する(1)効力条項及び実体法上の効力に関係のない(2)任意条項があります。
効力条項は、さらに(a)給付条項、(b)確認条項及び(c)形成条項に分けられます。任意条項は、その記載がなくても法律上当然にその効果が生じるものの、当事者の意思を尊重してあえて記載する条項のことをいいます。
・給付条項
給付条項とは、当事者の一方が他方に対し、特定の給付をする旨の条項のことであり、代替物若しくは非代替物を引き渡すことを内容とするもの、一定の意思表示を行うことを内容とするもの又は作為義務若しくは不作為義務を履行することを内容とするものがあります。具体例は、下記のとおりとなります。
「代替物若しくは非代替物を引き渡すことを内容とするもの」
ex.金銭の支払、不動産の引渡等
「一定の意思表示を行うことを内容とするもの」
ex.所有権移転登記手続等
「作為義務若しくは不作為義務を履行することを内容とするもの」
ex.動産の撤去、動産の設置禁止等
・確認条項
確認条項とは、現在若しくは過去の法律関係の存在又は不存在を確認する旨の条項のことであり、支払義務の確認、所有権の確認等が主な具体例となります。なお、法律関係の存在又は不存在の確認にのみならず、事実関係の確認(現在又は過去いずれの確認も可能。)も可能とされ、これを現認証明条項といいます。
・形成条項
形成条項は、当事者が処分可能な法律関係に関して新たな権利の発生、権利の変更又は権利の消滅の効果を生じさせる条項のことであり、具体例は、下記のとおりとなります。
「新たな権利の発生」
ex.売買、保証等
「権利の変更」
ex.契約期間の変更等
「権利の消滅」
ex.債務免除、相殺等